中学の同窓会その11(終) 抱擁

別れの握手のはずでした。

ですがどういうわけか、僕もリナコも互いに握った手をほどこうとしません。

僕ら二人はお互い見つめ合って握手をしたままの姿勢で固まっていました。


握手を申し出たのは僕の方なので、自分から手を離せばよいだけの事なのですが、なぜかそういう気になれませんでした。

ここで手を離したら本当にサヨナラだ・・・という思いが僅かながら僕の中にあったのかもしれません。


その間もリナコは笑みを湛えてこちらを見つめたままです。

その手を引っ込める素振りさえ見せません。


お互い言葉を発することもなく、5秒、10秒・・・と時間だけが過ぎてゆきます。



ふいに・・・僕らの体が重なりました。

リナコの顔が僕の肩にもたれかかり、先ほどまで握手をしていた僕の右手は彼女の背中にまわっていました。


僕がリナコを引き寄せたのか、それとも僕の方から彼女に踏み入ったのか、はたまた彼女の方から身を預けてきたのか、そのいずれなのかは分かりませんが、結果として僕ら二人は真冬の夜の下で抱き合う格好となったのです。


中学の同窓会その11



実のところ、僕が女性を抱くのは数年前にミユキと別れて以来の事です。

本当に久方ぶりに抱いた相手がまさかリナコとは想像もしませんでした。


ただの同級生で、今夜久しぶりに再会しただけの間柄です。

彼女に想いを寄せていたわけでもなく、ただ場の雰囲気に流される形で抱いてしまいました。


抱き合っている間、リナコは一言も発しません。

この状況を受け入れているのか、拒む仕草を何一つ見せる様子が無いのです。

それどころか、いつの間にか彼女の片腕が僕の肩に触れていました。


夜とは言え週末なので、駅すぐそばのこの広場はそれなりに人の往来もあります。

僕らが抱き合っていた場所は広場の外周部で、街灯が照らす灯りの範囲からはやや外れてはいるものの、いつ何時他人に見られるか分かりません。


それにリナコはれっきとした人妻です。

「同級生」という認識が強いせいか忘れがちになりますが、彼女は家庭を持つ身です。

それにもうすぐ旦那が迎えに来るという時にこんな行為に及ぶなど正気の沙汰ではありません。


もっとも、当のリナコが何一つ拒絶しないのもおかしな話ですが・・・



リナコの体を感じつつも僕の頭は少しずつ冷静になり、やがてゆっくりと抱擁を解きました。

彼女は顔にはまだ笑みが浮かんでいます。


僕らは互いに向き合ったまま何も言葉を発しません。

というより、握手の辺りから僕らは一言も口にしていないのです。

互いに沈黙を破るキッカケを掴めないのか、僕らはただ向かい合い、そして見つめ合っていました。



本来ならば僕の方から彼女に「ごめん」と詫びの一言を伝えるのが筋というものですが、あえてそれを口にはしませんでした。

勝手ながら、リナコを抱いた事と彼女がそれを受け入れてくれた事を綺麗な形のままに保っておきたいと思ったのです。

詫びの言葉を発したら、それが後ろめたいものとして認識されるかもしれません。


それに、目の前でリナコが魅惑的とも官能的とも思える笑みを浮かべてこちらを見ています。

その表情を崩したくもありませんでした。


僕 「それじゃあ」

僕はただ別れの挨拶を投げかけました。

リナコ 「うん」

彼女もシンプルに応じます。

リナコ 「ありがとうね」


何に対してのありがとうなのか・・・。

抱いたことに対してなのか、同窓会で再会できたことに対してなのか・・・。

その答えを聞こうとも思いませんでした。


僕 「またな」

リナコ 「またね」

それだけ言うとお互いに踵を返して、僕は車を停めてある駐車場へ、リナコは旦那が迎えに来る広場へ向かいました。



一夜限りの、ただ一瞬の抱擁でした。

これも不倫と言えば不倫になるのかもしれません。


余談ですが、この半月ほど後に僕はアイさんを抱くことになります。

それはすでに記事にしましたが、その時は興奮やら後悔やら不安やら色々な感情の波に揉まれました。


それに比べるとこの度のリナコとの抱擁は至極あっさりしたものです。

もちろん、見違えるほど美人になった彼女を抱けたことはすごく嬉しかったです。

ですが、同じ県内に住んでいるとはいえ次にいつ会えるかもわからない間柄であり、もしかしたら今夜が最後の邂逅になるかもしれません。

それゆえに、さほど罪の意識を感じなかったのでしょうか。



もしかしたらリナコともっと深い関係になることも可能なのかもしれません。

彼女が僕の好みのタイプであることはすでに述べましたが、そのリナコをベッドの上で抱けたらどれほど興奮するでしょう。

同窓会の日を境にそんな下衆な妄想に想いを馳せることも多くなりました。


リナコという女の存在がこの先不倫の萌芽となるか否か、ゆっくりと答えを出していきたいと思います。




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とある女性に密かな思いを寄せる40代の男です。

手を出してはいけない女性への気持ち、女を惚れさせるだけの魅力が自分にあるか、そして本当にカッコイイ男とは何かを自問自答しながらこのブログを綴っていきたいと思います。

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